空気調和・衛生工学会 九州支部

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九州支部での受賞実績

西南学院中学校・高等学校

西南学院中学校・高等学校の自然エネルギー利用

設計・施工:鹿島建設(株)
設計監修・管理:(株)日建設計

 西南学院は1916年に男子中学校として創立され、1921年に高等学部を設置、戦後は中学、高校、大学を有する総合私学として福岡市西新にキャンパスを構えている。1994年の高等学校の男女共学化、1996年の中学校男女共学化に伴い、中学校・高等学校は隣接するシーサイドももち(百道浜)に2003年に移転した。本業績はこの新校舎に関するもので、約5万m2の敷地に旧校舎の面影を残す煉瓦外装の教室棟(地上4階、RC造・外壁レンガ積み、建築面積8,369 m2、延べ床面積26,334 m2)と体育館(地上4階、SRC造・外壁レンガ積み、建築面積3,790 m2、延べ床面積8,205 m2)からなる。建築計画上の大きな特徴として、教室棟は南北に教室群を配置し、その中間を4層吹抜けのトップライトを有するアトリウムとしている。敷地南側は片側3車線の幹線道路(よかトピア通り)である。
本業績の特徴は次の点である。

  1. 自然エネルギー利用計画の効果予測
  2. 自然エネルギー利用計画の性能確認
  3. 建物のエネルギー消費量の確認及びフォローアップ

本業績での自然エネルギー利用とは「北側教室の昼光利用」、「アトリウムを介した教室の自然換気」、「配管ピットを用いたクールアンドヒートチューブ」、「雨水利用」があげられる。
  「北側教室の昼光利用」については、計画時から道路騒音の影響が予想される南側教室群を特別教室とし、一般教室を北側に配置している。北側のための直射日光による窓面の照度変動の少なさ、アトリウムからの採光の効果を照度計算により予測すると共に、実測レベルで年間照明電力の25%(北側1教室当たり)の削減を達成している。
  「アトリウムを介した教室の自然換気」では、事前にその効果をCFD解析で予想すると共に、
実測レベルでその効果(月間45%を自然換気(2003年5月)、アトリウム下部の図書コーナーで年間稼動時間68%を換気のみ)を確認している。
  「配管ピットを用いたクールアンドヒートチューブ」は、用途を体育館への給気に限定した無理のない計画である。
  集水面積2,275 m2、貯留槽300m3の雨水利用システムでは実測レベルで年間1600 m3(便所洗浄水の33%)の雨水利用量である。しかし、再現シミュレーションでは雨水利用率が47%となり、今後の検討が必要であろう。
  「建物のエネルギー消費量の確認及びフォローアップ」に関しては、電話回線を利用したデータ収集および監視システムを利用して、コミッショニングを行っている。その結果、「通常の学校と比較して、一次エネルギー消費量は1/3、給水使用量は半分となっている。」と指摘している。比較対照先のデータ不足も考えられるが、「自然エネルギー利用」の目的は達成していると考えられる。

以上、本業績の計画・設計・施工、運用の各段階における技術は、空気調和・衛生工学会振興賞技術振興賞に相応しいものと考えられる。

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