空気調和・衛生工学会 九州支部

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九州支部での受賞実績

博多駅南Rビル

省エネルギー手法と床吹出し型躯体蓄熱空調システム

計画・設計・施工: 三菱商事(株)
設計・計測: 西日本技術開発(株)
計画・設計・施工・分析評価:(株)菱熱
分析評価: 九州電力(株),相楽典泰,龍 有二

 本業績は、福岡市博多区博多駅南の1,112m2の敷地に建設された平成15年5月竣工の鉄骨造8階建の延床面積5,512 m2事務所ビルである。1~5階は建築主の本社、6~8階はテナントフロアーであり、2~5階に九州では初めての床吹出し型躯体蓄熱空調システムが導入されているほか、複層Low-Eガラス、屋上外断熱、屋上緑化、敷地内緑化、透水性舗装などが採用されている建築と設備が一体となった省エネルギービルである。
本業績の主たる評価点は、以下のとおりである。

 従来の躯体蓄熱方式は冷温風を躯体(床スラブ)の片面に吹き付けて蓄熱(蓄冷)するため、均一な蓄熱量の確保や蓄冷量の大幅な増加等に関して制約がある。本建物では、2~5階に床吹出し型躯体蓄熱空調システムを採用するため、2階スラブ下および6階スラブ下に発泡ウレタン50mm吹付けの断熱を施し、西面開口部に複層Low-Eガラス、南・東面の開口部は複層ガラス、外壁も大型ALC版に発泡ウレタン50mm吹付けで対象空間の高断熱化を図っている。通常の空調時は汎用床吹出し型パッケージ(氷蓄熱マルチパッケージ)からの給気は床下から室内に供給され、天井スリットから天井懐に入って環気されている。床吹出し口は電動シャターを内蔵しており、躯体蓄熱運転時には閉鎖される。躯体蓄熱運転時には床下への給気は床スラブ上面に蓄熱、外壁内側の造り付けダクトスペースを介して天井懐に入り、上階スラブ下面に蓄熱しながら、パッケージに還気される。吹出し型パッケージ、造り付けダクトスペース、電動シャター内蔵床吹出し口はスパン毎にモジュール化されている。自社スペースであるため、スラブ上下からの蓄熱が採用されている。なお、新鮮空気の取り入れに関しては九州電力の個別熱供給制度を利用した空冷ヒートポンプ氷蓄熱ユニットを熱源とする外気処理空調機を用いている。

 汎用パッケージは躯体蓄熱運転を実施するため、通常の吸込温度制御から躯体蓄熱運転時は吹出温度制御としている。風量制御に関しては送風機台数制御のほか、圧縮機を停止し、送風機のみを運転するデマンド運転も用意されている。また、夜間蓄熱運転制御は中央監視盤からのスケジュール信号による製氷運転から室外機・室内機運転への自動変更が行われている。

 平成15年度の運用当初、躯体蓄熱運転は3時間、室内機吹出し温度を夏季冷房時は12℃、冬季暖房時は35℃としたが、平成16年度は運転時間および吹出し温度を種々設定した運転を行っている。その結果、平成16年度の消費エネルギー削減率は39%で計画当初の試算値24%を大きく上回っている。夏季の夜間電力移行率は氷蓄熱単独運転では40%程度であるが、氷・躯体蓄熱併用運転では50%弱~60%強であった。また、冬季の夜間電力移行率は70~80%であり、夏季を上回っている。

 本業績は、九州では初めての床吹出し型躯体蓄熱空調システムを導入している。また、自社ビルであることを踏まえ、スラブ上下からの蓄熱が試みられているほか、複層Low-Eガラス、屋上外断熱、屋上緑化、敷地内緑化、透水性舗装などが採用されている建築と設備が一体となった省エネルギー方策を採用している。
よって、本業績は空気調和・衛生工学会振興賞技術振興賞に値するものと認める。

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