空気調和・衛生工学会 九州支部

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受賞実績一覧

九州支部での受賞実績

大分県・半導体後工程工場

大分半導体後工程工場における省エネルギー冷熱熱源システム

計画・設計・監理: 九州電力(株)
計画・設計・施工:(株)九電工
計画・設計・施工: 高砂熱学工業(株)

 本業績は、大分県内の半導体後工程工場(敷地面積約86,000m2)における新設棟(2007年4月竣工)の冷熱源システムを対象とするものである。インバータターボ冷凍機や統合型冷却塔の最新機器および高度な省エネルギー制御などを導入した他、既存棟(昭和50年代に建設)の冷熱源システムの効率改善をねらって新設棟と既存棟の冷熱源システムを融合させ、総合的なシステムCOPの向上を図っている。
本業績の主たる評価点は、以下のとおりである。

  1. インバータターボ冷凍機の機器COPの性能特性に基づく、統合型冷却塔による冷却水の低温化とインバータターボ冷凍機の負荷率制御によって大きなエネルギー消費量の低減を実現した。
  2. インバータによる冷却水の変流量制御(制御範囲30%~100%)を採用した。これによる省エネルギー効果として、定流量の場合と比較して夏季代表日積算値で冷却水ポンプ電力消費量60%の低減が、冬季代表日で同じく73%の低減が得られた。
  3. 統合型冷却塔のセル群の全体を運転し、すべてのファンをインバータ制御する方式を採用した。これによる省エネルギー効果として、台数制御の場合と比較して冬季代表日の1時間積算値で冷却塔ファン電力消費量20%の低減が得られた。
  4. 冷水・冷却水ポンプのモータには鉄心形状を最適化した高効率モータを採用し、冷却塔のファンにはギアードモータを採用するなど、効率の向上を図った。
  5. 新設棟と既存棟の冷熱源システムを融合し、一体的な運用を可能にした。まず、ランニングコスト低減のために既存棟冷熱源システムの氷蓄熱槽放熱を新設棟冷熱源システムでも利用できるようにした。次に、既存棟冷熱源システムの冷水供給方式(氷蓄熱槽から〔ブライン-水〕熱交換器を介して水蓄熱槽に冷水をいったん貯水し、冷水供給する方式)をやめ、新設棟冷熱源システムから既存棟へ冷水供給するように配管経路を変更することにより(開放系から密閉系への変更)、搬送動力の低減を図った。
  6. 新設棟と既存棟の冷熱源システムを制御コントローラやWeb監視システムで一元管理し、システム運用の改善に取り組んだ(継続中)。運転実績(2007年5月~2008年4月)において、システムCOPの最高値は11.22(2008年3月)を、年平均システムCOPは4.65を達成している。既存棟冷熱源システムの2006年度の年平均システムCOP(2.37)を基準とした場合、年間約1,200トン-CO2の二酸化炭素削減量が得られた。

 本業績は、半導体後工程工場の冷熱源システムの新設において、インバータターボ冷凍機や統合型冷却塔といった最新機器の導入、冷却水変流量制御や冷却塔ファンインバータ制御といった制御上の工夫、冷水・冷却水ポンプの高効率モータや冷却塔ファンのギアードモータの採用に加え、既存棟の冷熱源システムの効率改善をねらって新設棟と既存棟の冷熱源システムを系統的に一体化させ、総合的なシステムCOPの向上を実現したものである。

 よって、本業績は空気調和・衛生工学会振興賞技術振興賞に値するものと認める。

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