空気調和・衛生工学会 九州支部

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九州支部での受賞実績

医療法人厚生会道ノ尾病院・虹が丘病院

医療法人厚生会道ノ尾病院・虹が丘病院における
井戸水ベストミックス処理システムの考案と適用

設計・計測・分析: 鹿島建設(株)九州支店
施工:(株)九電工,ゼオライト(株)
コンサルタント: 鹿島建設(株)

 本業績は、竣工後50年を経た病院施設の改修工事(2009年1月~2010年8月)において、従来から利用してきた井戸水の水質問題を解決するために考案、導入された井戸水処理システムを対象としたものである。敷地内(敷地面積約18,700m2)には合計935の病床数を有する大型の道ノ尾病院及び、虹ヶ丘病院が立地しており、7本の井戸(現在稼働中は4本)からの採水により、1日あたり約400m3の井戸水を使用している。井戸水は砂ろ過と滅菌により飲料水として適合する水質に処理されているが、上水道に比べてカルシウム・シリカ・硫酸イオン成分が多く、これまでに病院内の給水・給湯設備にてスケール障害等が発生していた。
本業績の主たる評価点は、以下の通りである。

  1. 井戸原水の水質調査やRO膜処理水(水を通しイオンや塩類など水以外の不純物は透過しない性質を持つ逆浸透膜(Reverse Osmosis Membrane)による濾過処理水)による腐食障害の事例調査を実施し、新たな処理システム「井戸水ベストミックス処理システム」を考案した。これは、汎用的に用いられるRO膜処理水とUF膜処理水(RO膜よりは孔径が大きな限外ろ過膜(Ultra filtration Membrane)による濾過処理水)を適切な比率で混合することによって、スケールと腐食による障害を共に緩和するシステムである。
  2. 井戸水ベストミックス処理システムの導入にあたっては、既設の配管や機器内に付着しているスケールの剥離、老朽化した配管や機器からの漏水などのトラブルを避けるため、従来と同じ送水圧を徹底すると共に、RO膜処理水とUF膜処理水の混合比率を5:5から8:2へと段階的に切り替える試験を実施した。試験期間は約8カ月間を要し、混合比率ごとに採水試験やデータ確認を行っている。
  3. 試験データに銅の孔食指数図「Nakajima Diagram」も適用し、井戸原水の水質は銅に関して腐食性が弱いことを確認した。また、硬度差0となるRO膜処理水とUF膜処理水のベストミックスポイントがRO膜処理水:UF膜処理水=6.6:3.4であることを明らかにした。
  4. 本改修工事終了後も継続的に水質データを採取し、適切な水質が安定的に維持・管理されていることを確認している。

 本業績は井戸水の処理システムにおいて、配管や機器へのスケール障害や腐食障害の発生を抑制するRO膜処理水とUF膜処理水を併用する「井戸水ベストミックス処理システム」を考案し、長期に亘る水質試験実施に基づいて、その有用性と汎用性を検証したものである。現状、RO膜処理後に取れすぎた成分を薬品等で添加する方法が主流の中、今回のRO膜処理水とUF膜処理水をブレンドする方法は、従来の水処理にはない新しい有効な発想である。また、薬品添加設備及び日常の薬品添加を必要としない点、また、これらによりイニシャルコスト及びランニングコストが削減できる点など高く評価できる。

 よって、本業績は空気調和・衛生工学会振興賞技術振興賞に値するものと認める。

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