空気調和・衛生工学会 九州支部

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九州支部での受賞実績

九州電力八女営業所総合改修による低炭素化に向けた取組み

九州電力八女営業所総合改修による低炭素化に向けた取組み

計画・設計・管理・評価 : 九州電力(株)
設 計・監 理・検 証 : 西日本技術開発(株)
計  測 ・ 分  析 : 龍 有二
施 工・計 測・分 析 :(株)九電工

 本業績は、新築建替によってリニューアルされる予定の老朽化した事務所ビルを対象に、既存躯体の積極的な活用と最大限の省エネルギー手法の導入を主眼に、リノベーション(総合的な改修による建物の機能化と価値の向上)を行い、建物の長寿命化による低炭素社会への貢献を図ったものである。計画に際して、建物全体で全面的な改修が必要であることから、意匠・構造・設備の各技術者が一体となって取り組み、更にBCP(事業継続計画)も考慮した総合的な改修計画が立てられた。特に省エネルギーの観点では、設備機器の高効率化にとどまらず、建物外皮にも熱的な性能向上を図り、建物全体での省エネルギーの最大化を実現している。

 本業績の主たる評価点は、以下のとおりである。

  1. 築40年を経過した事務所ビル建屋において、現況調査から抽出された絶対的な事務所面積の不足と建物・設備の老朽化という課題に対して、環境対応ならびに費用対効果の両面から新築ではなくリノベーションによる対策が最適であることを確認した。これを受けて、対象建物のBCP確保と構造的に十分な耐震性能の向上を図るために、コンクリートの耐久性調査や耐震診断等に基づいた耐震補強によって既存駆体の長期使用を可能にした。更に、低炭素化改修の観点から、改修計画全般において積極的にエコマテリアルの採用に努めている。
  2. 省エネルギー化では、設備的な部分の改修実施と同時に建築的手法による外皮負荷の低減が行われた。これは計画初期からの意匠・構造・設備の協働の検討成果であり、計画段階では執務室配置の変更、開口部の最小化、単窓化による窓面積の縮小等が、また、設計段階では全面エコガラスの採用、外断熱化、南面での外装ルーバーや光ダクトの採用、地域の街並み景観と省エネ性を両立させる白を基調とした外壁色の採用等が行われた。これらにより、外皮を含めた建物全体で省エネルギー性能が最大化され、エネルギー消費量の低減を実現した。
  3. 計画・設計段階で導入された省エネルギー手法と運用段階におけるCO2濃度による換気制御、室外機への上水散水、太陽光パネルへの井戸水散水などの手法の効果について、竣工後の継続的なモニタリングによる検証と改善が実践され、エネルギー使用量の削減が図られている。また、定期的な室内温熱環境の計測や執務者へのアンケート調査による温熱環境評価により、エネルギー使用量削減の観点にとどまらず、居住者の快適性も考慮した多面的な方法によって総合的評価を行っている。

 総合改修に際して省エネルギー化に取り組んだ本業績は、CASBEE改修【簡易版、2010年版】を用いた試算では、改修前のB-ランク(BEE=0.7)から改修後はAランク(BEE=2.5)に評価が上昇している。また、LCCO2に関して、現状のまま使用の「対策なし」、「新築」、今回の「総合改修」の3ケースについて10年後を試算すると、「対策なし」に比べ、「新築」および「総合改修」のLCCO2排出量は約半分、更に「総合改修」は「新築」よりも施工時のCO2を353t-CO2削減と算出され、今回の「総合改修」は社会の低炭素化の観点からも大いに貢献しているものと評価される。

 よって、本業績は空気調和・衛生工学会振興賞技術振興賞に値するものと認める。

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