空気調和・衛生工学会 九州支部

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九州支部での受賞実績

ホテルオリオンモトブにおける水と空気のトータルエネルギーシステムの計画と検証

ホテルオリオンモトブにおける水と空気のトータルエネルギーシステムの計画と検証

計画・設計・監理  : 株式会社 日建設計
設計・監理     : 株式会社 環境設計国建
施工        : 清水建設 株式会社 九州支店
施工        : 高砂熱学工業 株式会社 九州支店
施工        : 三建設備工業 株式会社 九州支店
検証・評価     : 株式会社 日建設計総合研究所

 本業績は、沖縄本島北部の国頭郡本部町に位置し、海を見下ろす西向きの丘に建設された238室のリゾートホテルである。沖縄県は、強い日射と高温多湿な環境により、外気の除湿に必要なエネルギーは本州地域の2.5倍にもなる。また、本施設は屋内外のプール、大浴場、タラソスパを備えるため、水と湯の消費量が非常に多い。一方、計画地では地下約20mで水温約23℃の冷泉、地下約1500mで水温約30℃の温泉が豊富な水量で得られる。そこで、これらの地域特性、施設特性から本業績は「冷泉と温泉を組み合わせる」、「太陽熱と地熱を組み合わせる」、「太陽の光と影を組み合わせる」の三つのアイデア・技術テーマを設定し計画のコンセプトとしている。 本業績の主たる評価点は、以下のとおりである。

  1. 外気は全て、クールヒートチューブ/トレンチ(CHT/T)で予冷・予熱され、デシカント外調機を経て施設内に供給される。二次空調ユニットとして、高層棟客室はFCU、中層棟客室は水熱源PAC、ロビー、宴会場等はAHUを採用している。熱供給は低温冷水系統、中温冷水系統、温水系統の3系統であり、低温冷水系統は、冷水蓄熱槽(600m3)とターボ冷凍機(1230kW×2)で構成されている。CHT/Tによる予冷・予熱とデシカント空調機により室内は顕熱処理が主体となるため、高めの冷水温度で冷凍機の効率向上を図っている。
  2. 中温冷水系統は、冷泉井と温泉井を掘削し、水資源の自立化・省資源化を図るとともに、冷泉(井水)を中水として利用するため、中水受水層(400m3)を冷槽(20℃)、中温槽(23~25℃)、温槽(27℃)に区分されている、冷槽の水はデシカント予冷・冷却コイルに利用し中温槽温槽側へ送られ、中温槽冷槽側の水は冷凍機冷却水の排熱を回収し、温槽へ送られ、中温槽温槽側の水は温泉排水から熱回収し温槽に送られている。そして温槽の水は水熱源HP温水器の熱源水となり、冷却されて冷槽に戻るようになっている。この循環系は冷却水の熱回収により冷却塔のファン動力削減、冷凍機のシステムCOPの向上、水熱源HP温水器のCOPの向上に貢献している。
  3. 温水系統は、真空管式太陽熱温水器(853㎡)、水熱源HP温水機(470kW×2)、空気熱源HP温水器(40kW×2)、給湯用低温貯湯槽(60m3)、同高温貯湯槽(20m3)で構成され、デシカント外調機の再生コイル温熱、冬期の暖房用温熱を供給するようになっており、給湯用貯湯槽から採熱し、太陽光や温泉排熱を有効利用している。

 本業績では、設計段階からLCEMによるエネルギーマネジメントを行い、2012年設計段階で熱源システムCOP1.48、現運用段階では1.55を設定している。そして、施設全体の2016年度一次エネルギー消費量は約2,300 MJ/(m2・年)であり、沖縄県内の他ホテルの床面積加重平均3,200 MJ/(m2・年)と比較して30%少ない結果となっている。また、自然エネルギー利用による2016年一次エネルギー削減量は太陽熱利用104MJ/(m2・年)、井水熱利用48 MJ/(m2・年)、地熱(CHT/T)利用15 MJ/(m2・年)と推算されている。

 よって、本業績は空気調和・衛生工学会振興賞技術振興賞に値するものと認める。

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