空気調和・衛生工学会 九州支部

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九州支部での受賞実績

長崎みなとメディカルセンター ~災害拠点病院を支える設備の構築と省エネ検証~

長崎みなとメディカルセンター ~災害拠点病院を支える設備の構築と省エネ検証~

設計・施工     : 大成建設 株式会社
事業主       : 長崎ホスピタルパートナーズ 株式会社
設計・監理     : 株式会社 久米設計
空調施工      : 新菱冷熱 株式会社
衛生施工      : 株式会社 西原衛生工業所
電気施工      : 株式会社 きんでん

 本業績は旧長崎市立の市民病院と成人病センターを廃止・統合し、政策医療の諸機能の整備と地域完結型の医療提供体制の構築の要となる地上8階、延床面積48,720m2の病院施設である。設計は平成23年10月~24年1月の16ケ月、施工は平成23年2月~27年2月の48ケ月であり、既存病院、隣接した購入敷地での三期にわたるローリング建替えである。第一期工事完成の平成25年4月から新病院の一部運用を開始し、第二期工事完成の平成28年2月(第三期工事は駐車場のみ)に病院機能が完成している。

本業績の主たる評価点は、以下のとおりである。

  1. 各ローリングステップで求められる病院機能を確保しながら、景観計画(30mの高さ制限)、強固な地下岩盤による掘削深度の制限、臨海地区特有の津波、塩害対策、さらには長崎湾特有の異常高水位現象「あびき」に対応した設計である。このため、階高3.3mで天井高2.5mの8階建の実現、ハイブリッド免震構法+オイルダンパの免震システムの採用、全ての設備システムを基礎免震上に設置した大規模地震に対応する医療施設である。病室の窓の多くが日射負荷の大きな南西面となる敷地形状のため、外壁では柱型を縦ルーバとして利用し、窓面はLow-Eガラス+簡易エアフロウインドウとして、日射負荷の軽減を図っている。
  2. 24時間体勢の医療サービスの提供、被災時のインフラ障害にも対応可能な熱源構成である。冷熱源はINVターボ冷凍機1台、ガス焚吸収式冷温水発生機2台、空冷HPチラー3台と冷水蓄熱槽で構成される。蓄熱槽はHP給湯機の排熱利用で得られた冷水を利用し、ダブルバンドル熱源としている。蒸気ボイラー4台は都市ガス/備蓄油のデュアルフューエル型である。
  3. 節水型の衛生器具、医療器具、流しを採用し、1日給水量330L/(床・日)、1日上水使用量250L/(床・日)を実現している。また、便所洗浄水は全て中水であり、その原水は90%が厨房排水と雑排水、10%が雨水である。

本業績は、景観地区である立地条件や法的規制の中で、必要な病院機能の充実と建替工事中での診療機能の継続を第一優先事項とした全体のボリューム、工程毎の建物規模などの建築計画と一体となった設備計画が必要であった。ビル全体の年間エネルギー消費量は原油換算で2016年度85.4[ℓ/(㎡・年)]、2017年度82.3[ℓ/(㎡・年)]、一次エネルギー換算では2016年度3,300[MJ/(㎡・年)]、2017年度3,200[MJ/(㎡・年)]であった。この値はDECCの病院データの国および九州地区のいずれでもほぼ中間に位置するが、ローリング建替えに起因する当初設計からの時間経過、病院機能や医療密度、立地条件や室内環境の快適性などを考慮すれば、十分な省エネルギー性能と考えられる。

 よって、本業績は空気調和・衛生工学会振興賞技術振興賞に値すると認められる。

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