R5年度
R4年度
- 嘉麻市庁舎の環境設備計画
- サンエー浦添西海岸PARCO CITY-沖縄の地域性を活かした先導的省CO2技術を活用した商業施設-
- 熊本桜町再開発地下水都市熊本における大規模かつ持続可能な地下水利用熱源の計画と実施
- 博多駅南RビルにおけるZEB改修効果の評価・検証
R2年度
R1年度
平成31年度
平成30年度
平成29年度
平成28年度
平成27年度
平成26年度
平成25年度
平成24年度
平成22年度
平成21年度
平成20年度
博多区新庁舎~大型庁舎における汎用設備によるZEB計画と運用実績
博多区新庁舎~大型庁舎における汎用設備によるZEB計画と運用実績
計画・施工 : 大成建設㈱
監理 : 西日本技術開発㈱
施工 : ダイダン㈱
施工 : 大成設備㈱
[推薦文]
本業績は、九州の玄関口である福岡市博多区に所在する地上10階、延べ面積約15,000㎡、2階柱頭免震構造を採用した鉄骨造の区庁舎である。1971年に建設された旧庁舎の耐震不足による建て替え事業であり、2021年12月に竣工したもので、①機能維持のためのBCP対策、②BELS(ZEB Ready)認証の取得、③CASBEE-WOのSランク取得、の3つをコンセプトとして掲げ、これらを達成している。更に、完成後1年間の運用実績の確認を行い、実際の運用段階においてもZEB Readyが実現できていることを確認している。
本業績の主たる評価点は、以下のとおりである。
- 区役所事業継続による市民の安全・安心を確保するため、災害拠点庁舎として、水害時の免震装置の水没にも配慮した2階柱頭免震構造を採用している。地震等によるインフラ途絶に対して、72時間事業継続を可能にする様々な防災機能を備えている。また、発電する外装システムとして、ガラスと一体化したシースルータイプ11㎡と、外壁材として使えるソリッドタイプ42㎡を設置している。合計の発電能力としては約6kWとなり、通常時の電力負荷低減のみならず、6.5kWhの蓄電池を併設することにより、停電時の自立運転が可能となっている。
- ZEBを実現するに当たり、「熱負荷の低減」、「自然エネルギーの活用」、「高効率機器の採用」の3つを設計コンセプトに掲げ、これらを軸に、省エネルギー計算WEBプログラムによる検討を行い、電気式モジュールチラー(30HP×4セット、合計能力340kW)+電気式ヒートポンプPAC方式(1フロア4系統を基本、合計1,410kW)を採用している。環境負荷が低く、ランニングコストを抑えた設備計画を行ない、大型庁舎で九州初のZEB Readyを取得している。
- 環境にも人にも配慮し、脱炭素に向けた省エネ、創エネ技術の導入により、CASBEE-建物のSランク認証を取得している。さらに、計画段階から「ココロの健康×カラダの健康」をテーマとし、職員と来庁者、双方の利便性や心身の健康へ配慮した計画を進め、国内庁舎初のCASBEE-WOのSランク認証を取得している。
- 完成後1年間の運用実績の確認を行ない、実際の運用段階においてもZEB Readyが実現できることを確認している。加えて、実績に基づく運用改善提案により、さらなる省エネルギーを目指している。
建物のメインファサードが東面であるため、外壁の開口率を約26%に抑えるなどの「熱負荷の低減」、昼光センサーによる照明調光制御、外気冷房導入といった「自然エネルギーの活用」、全熱交換器組込み外調機や高効率ヒートポンプ給湯器といった「高効率機器の採用」により、設計値は639MJ/(㎡・年)となり、WEBプログラムによる基準値1,291MJ/(㎡・年)より50%削減となっている。また、定期的なレポートなど、エネルギーサポートセンターが、ZEB化推進を積極的にサポートし、2022年5月から2023年4月の1年間の一次エネルギー消費量の実績値は410MJ/(㎡・年)であり、BEI値は0.32となった。基準値より68%、設計値639MJ/(㎡・年)より35%の削減となり、ZEB Readyを設計段階のみならず実績値においても達成している。また、CASBEE-WOのSランク認証を取得していることから、快適性を損なうことなくZEB化が実現されている。
よって、本業績は空気調和・衛生工学会振興賞技術振興賞に値すると認める。