空気調和・衛生工学会 九州支部

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九州支部での受賞実績

SAGAサンライズパークの環境・設備計画と検証評価

SAGAサンライズパークの環境・設備計画と検証評価

・計画・設計:株式会社梓設計 ・施工:三建設備工業株式会社九州支店
・検証・評価:国立大学法人佐賀大学

[推薦文]
 本業績は、佐賀駅から徒歩圏内の利便性の高い環境にある県総合運動場の一体整備に併せて計画されたもので、その中核として新設されたSAGAアリーナ(延床面積約33,940m2)、SAGAスタジアム(延床面積約13,780m2)、SAGAアクア(延床面積約12,350m2)の3施設における環境・設備システムの設計・施工・検証に関わるものである。
 本業績の主たる評価点は、以下のとおりである。

  1. 本計画では、負荷パターンが異なる特徴を持つ大規模施設が、同一敷地内に立地することを活かした、面的エネルギー供給システムの導入により、従来に比べて約10%の熱源設備の縮減を実現している。特に、再生可能エネルギーを空調や給湯の予冷・予熱に利用して、優先的に運転することで、再生可能エネルギーを最大限に利用できるシステムとしている。
  2. 2018年3月策定の「佐賀県再生可能エネルギー等先進県実現化構想」、2021年3月策定の「佐賀県再生可能エネルギー利用基本計画」の基づき、地中熱(井水熱)、太陽熱、太陽光の利用設備を積極的に導入している。地中熱の試験結果から、地盤の有効熱伝導率が一般的な値と比べて約2.5~4.2倍程度高いことから井水熱ヒートポンプチラーを導入し、予冷系統として位置付けて最大限活用できるシステムとしている。また、エネルギーセンター屋上に設置した50枚の太陽熱集熱パネルで生成した温水を、給湯の還ヘッダに供給して各施設のシャワー系統やプールの昇温系統の補助熱源に活用している。さらに、飛び込みプール棟屋上に多結晶シリコンパネル(20kW)を設置し、創エネによる省CO2を図っている。
  3. 運用後における各施設での空調負荷パターンやイベント時の負荷特性を分析し、その結果を有益な先行事例として公表している。空調負荷のパターンは施設ごとに異なる傾向がみられ、ピークの発生するタイミングの重複も少ないことから、各施設の熱源機器を集約することで合理的な容量設計を実現できていることを確認している。併せて、大規模イベント時の高負荷かつ連続運用の特殊条件下におけるデータを分析し、それらの特性を学会等で報告している。
  4. 運用後の熱源システムの運転状況を始め、熱源機器の生成熱量による再可能エネルギーの寄与率、地中温度の変化等について検証している。2023年5月~2024年4月において熱源機器全体の生成熱量に占める再生可能エネルギーの割合は約15%であり、設計時の想定値(約6%)を大きく上回る。これらの熱量は延床面積3,000m2程度の事務所ビルの年間空調負荷に相当する。また、運用後の地中温度には大きな変化はみられず、地中熱HPチラーの定格COPは、他メーカー2社の高効率型空冷HPモジュールチラーと比較しても大きな値となり、実績値においても同様に冷房(4.48)・暖房(4.04)で地中熱HPチラーの値が上回る。

 本業績は、同一敷地内に計画された大規模スポーツ施設における環境・設備計画であり、プールを併設した施設としても一次エネルギー消費量を比較できる事例は少ない。類似例として中国・四国地方の施設では1,434MJ/(m2・年)、関西の施設では1,390MJ/(m2・年)と報告されており、当該施設の値は1,246MJ/( m2・年)とこれらより低く、エネルギー効率の面で優れた運用を実現している。
 よって、本業績は空気調和・衛生工学会第40回振興賞技術振興賞に値するものと認められる。

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