空気調和・衛生工学会 九州支部

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受賞実績一覧

九州支部での受賞実績

Make Future Hospital ― 福岡大学病院 新本館の施設計画

Make Future Hospital ― 福岡大学病院 新本館の施設計画

・設計・施工・検証: 清水建設株式会社 ・建築主:学校法人福岡大学
・設計:株式会社東畑建築事務所 ・設計・運用・検証:九電ネクスト株式会社
・設計・運用・検証:西部ガステクノソリューション株式会社
・施工・検証:株式会社九電工 ・施工:株式会社西原衛生工業所
・施工:大管工業株式会社 ・検証・評価:国立大学法人九州大学 住吉大輔

[推薦文]
 本業績は、旧本館の老朽化に伴い外来以外の主要機能を移転した地上12階、地下1階、塔屋1階で、延べ面積約51,000㎡、病床数618床の、2024年9月に竣工した免震構造の大規模大学病院である。病院の基本理念である「あたたかい医療」の具現化を目指して、安全・安心、持続可能性、快適な環境、教育を設計コンセプトとして計画された、空調・衛生システムの設計・施工・運用・検証・評価に関わるものである。
 本業績の主たる評価点は、以下のとおりである。

  1. 感染拡大時病床転換システム「パンデミックモード」を開発、一般病床から感染病床への迅速な転換を可能とする仕組みを構築している。ゾーニングや気流制御、差圧管理を徹底し、院内感染リスクを最小限に抑止している。また、模擬患者から発生する模擬汚染物質(エタノール)の室内拡散実験に持つ付き、新たな感染リスク評価手法を開発している。その性能検証により、緊急時においても一般診療と感染症診療の両立が可能であることを実証している。
  2. 災害拠点病院の指定要件を遙かに超える医療機能の維持を目指し、72時間の連続運転、電源フルバックアップを可能とする非常用発電機(1,250kVA×2台)を設置している。さらに、熱源設備専用の非常用発電機(1,250kVA×1台)により、冷暖房・蒸気を3日以上、「災害時モード」で15日以上供給可能としている。また、全館に加圧防排煙システムを採用し、火災時における患者の避難安全性を高めている。
  3. 多種多様な省エネルギー技術を採用し、竣工時に『Zeb Oriented 相当』となる「BEI=0.70」を達成している。これにより、BELS(旧制度)の最高グレードである5つ星を取得している。「住宅性能評価・表示協会 事例データ一覧」によれば、ZEB化の達成が困難な病院用途において、『Zeb Oriented 相当』の実現は、全国170余りの大学病院として、また、竣工済の500床以上の大規模病院として日本初である。加えて、エネルギーマネジメント会議を定期開催し、運用状況の把握や熱源設備の効率改善、建物全体の省エネルギー推進に継続的に取り組んでいる。その結果、開院2年目の5月と6月の一次エネルギー消費量は前年比で5.8%、7.0%削減し、システムCOPは前年比で112%、107%向上した。
  4. 節水器具・自動水栓の採用、ニュークックチル方式のちゅう房の導入や、排水処理システムの合理化により、使用水量・薬剤投与量を大幅に削減している。利用者の使い勝手を最優先としつつ、非接触化による感染リスクの低減と節水を両立し、既存建物の使用水量実績(冷却塔補給水を含む)を基にした設計値710 L/(床・日)に対し、実績値は367.8 L/(床・日)であり、48.2%削減を達成している。また、高温排水冷却用補給水ゼロと薬剤投与量の90%以上削減を達成している。さらに、LEED ZeroのZWB達成率は年間で65%となっている。

 本業績は、未知の感染症に対応する建築・設備の在り方を徹底的に検討し、パンデミックや大規模災害における高度先進医療の機能維持と省エネルギーの両立を実現している。さらに革新的な水資源管理を通じて、次世代の病院設計における新たな基準を確立している。
 よって、本業績は空気調和・衛生工学会第40回振興賞技術振興賞に値するものと認められる。

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