空気調和・衛生工学会 九州支部

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受賞実績一覧

九州支部での受賞実績

かごしま環境未来館

かごしま環境未来館の環境共生手法の計画と評価

計画・設計・監理:(株)日建設計
実測・評価: 二宮秀與

 本業績は、環境意識の向上や環境保全活動の増進などを目的とした環境学習や環境情報発信のための拠点施設を対象としたものである。本建物は、2008年5月に竣工し、同年10月に開館した延床面積約3,000m2の建物であり、鹿児島市内の甲突川沿いに位置している。本建物では、「緑の丘の創出」と「地域資源の活用」をコンセプトとして、様々な省エネルギー設備や自然エネルギー利用設備が採用されており、周辺環境改善、環境共生、運用段階の低炭素化の取り組みが行われている。
本業績の主たる評価点は、以下のとおりである。

  1. 建物屋上や敷地を全面的に緑化し、それぞれの場所にて表面温度の低下を図り、良好な微気候を形成している。緑化前に比べ緑化後は、屋根面の表面温度が最大で約30℃低下しており、屋根面からの貫流熱負荷は1/4に低減されている。また、緑化した地表面近くの外気温は緑化していない場所と比べて約1℃低下し、良好な微気候形成に寄与した。
  2. 外断熱やLow-eガラスの採用、日射遮へいのパーゴラ設置といった外被負荷の低減対策が取られている。天候の良い夏季日中でも室内の自然温度はほぼ29℃に維持されている。
  3. 井水を空調や雑用水に利用し、年間の上水利用率を全体の約3%に抑えた。展示ゾーンには井水熱源のビル用マルチパッケージ空調および水冷ヒートポンプチラーによる放射床冷暖房を併用し、井水熱利用により年間で冷熱130GJ、温熱87GJの大気放熱を抑制した。
  4. 全長100mのアースピットを設け、居室への新鮮外気の予冷・予熱を行っている。これにより、年間で冷熱98GJ、温熱51GJの省エネルギーを実現した。
  5. 太陽光発電パネル40kWを一部の屋上に設置した。年間の館内利用電力量のうち18%が太陽光発電(45MWh/年)でまかない、買電0となった時間は開館時間(3,600時間/年)の1.4%を占める。
  6. 本建物の年間CO2排出量および年間1次エネルギー消費量は、27.1kg-CO2/(m2・年)、669.8MJ/(m2・年)である。鹿児島市内の同規模類似用途建物の実績値と比較して、年間CO2排出量で約55% の削減となった。また、九州地域における展示施設の平均的な年間CO2排出量と年間1次エネルギー消費量と比べても非常に小さい。
  7. CO2排出量や水使用量のモニター表示、アースピット通気と外気の温度比較の体験装置、井水直接利用放射冷房パネル設置など、施設利用者に向けた環境対策の「見える化」を行っている。運用・管理者に対しては、システム運用マニュアル整備や屋外環境(エンタルピー・露点温度・風向・降雨)を中央監視画面へのガイダンス表示し、適切なシステム運用を支援している。
  8. シラスを混入した緑化平板、市民ホールの床廃材(檜と杉)の再利用など、鹿児島の自然素材やエコマテリアルを有効活用した。
    本業績は、環境学習や環境情報発信のための拠点施設である建物・設備の計画・設計において、周辺環境改善や環境共生、運用段階の低炭素化を目指したものである。大規模な屋上・敷地緑化、甲突川沿いの立地特性を活かした井水の空調・雑用水利用、地中熱や太陽光利用、システム運用マニュアル・ガイダンス活用などにより、極めて大きな省エネ・省CO2が実現されている。

 よって、本業績は空気調和・衛生工学会振興賞技術振興賞に値するものと認める。

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