R4年度

- 嘉麻市庁舎の環境設備計画
- サンエー浦添西海岸PARCO CITY-沖縄の地域性を活かした先導的省CO2技術を活用した商業施設-
- 熊本桜町再開発地下水都市熊本における大規模かつ持続可能な地下水利用熱源の計画と実施
- 博多駅南RビルにおけるZEB改修効果の評価・検証
R2年度

R1年度

平成31年度

平成30年度

平成29年度

平成28年度

平成27年度

平成26年度

平成25年度

平成24年度

平成22年度

平成21年度

平成20年度

地方放送局におけるBCP計画及び環境配慮技術の性能検証
地方放送局におけるBCP計画及び環境配慮技術の性能検証
計画・設計・検証 : 株式会社 三菱地所設計(東京)
施工・検証 : 株式会社 九電工
本業績は、延べ面積約6,300㎡の地方民間放送局社屋の移転・建設プロジェクトであり、開局35周年にあわせて2017年夏に放送を開始している。建設中に熊本地震が発生し、現場は躯体構築完了の状況であったが、建築中の社屋は無傷であった。
放送局建築の特徴は、①オフィス機能(報道、技術、総務など)、②スタジオ機能、③放送設備機能(24時間稼動のサーバ室)の3つの機能が混在していることである。この3機能に対して建築設備は(1)震災等の非常時でも情報発信を継続できる強度・耐久性、(2)24時間365日稼動する放送設備に起因する多量のエネルギー発生に対する省エネルギー性能、の必要性が挙げられる。
上記2項目を含めて、本業績の主たる評価点は、以下のとおりである。
- いかなる状況下でも放送を継続させる必要がある放送局としてのBCP計画を策定している。インフラ途絶期間を4日間と想定し、それに対応できる非常用発電機、オイルタンク、高架水槽、受水槽さらには防災井戸を設置している。熱源は電気、ガス、A重油(非常用発電機用と吸収式冷温水機用の4日分)に多様化し、熱源機や空調機の分散配置、水槽の独立設置を行っている。
- 24時間稼動の放送設備に対する空調負荷削減のため、自然エネルギーの有効利用を図っている。外気導入が可能な時期には2Fエントランスホール空調機の換気ファンを自動制御で停止(給気ファンは風量絞込み)、階段室頂部から屋外へ排気する半自然通風モードがある。また、放送関連室も外気冷房が可能であり、中間期~冬期には冷却塔のフリークーリングも行っている。さらに、大温度差送水、VAVによる変風量制御、予冷予熱時外気シャットアウト制御、CO2制御(スタジオ)、床吹き出しによる居住域空調(ニュースセンター)などを採用している。この結果、年間一次エネルギー消費量実績値は2,644MJ/(m2・年)で旧社屋比21%減、一次エネルギー消費量算定用WEBプログラム(建物用)Ver.10.2による省エネルギー計算比は24%減であった。
- 放送局において最も電力を消費するのはラック室である。ラックの発熱に伴う自然対流と空調機による強制対流の混成で形成される気流場の解析は、今後のサーバ室の空調設計に資するところが大きい。本業績はラック室内の気流分布と温度分布を設計時にCFD解析で予想し、竣工後の温度測定と熱画像撮影および中央監視データとの比較検証を行っている。その結果、事前予測と事後測定結果は概ね一致し、空調設計および解析手法の妥当性が検証されている。
本業績は放送局の建築設備に求められる「震災等の非常時でも情報発信を継続できる強度、耐久性」については様々なBCP計画で対応を図ったものである。また、「省エネルギー性能」についても建築物省エネ法の年間一次エネルギー消費量実績は旧社屋比21%減、省エネルギー計算比24%減を達成している。
よって、本業績は空気調和・衛生工学会振興賞技術振興賞に値するものと認められる。
