空気調和・衛生工学会 九州支部

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九州支部での受賞実績

福岡大学附属大濠高等学校中学校

エコスクールの実現を目指した福岡大学附属大濠高等学校中学校校舎の計画・分析

設計・監理:(株)日本設計
環境測定協力: 葛 隆生,龍 有二
環境アンケート協力: 曽野正純

 本業績は、「環境対応型エコスクールの実現」を目指して計画された、中高一貫の学校施設である。2010年3月に竣工した延床面積約28,000m2の建物で、福岡市中央区に位置し、大きな緑地や池を有する大型公園に近接した生態系に恵まれた環境にある。本建物では、「バイオミミクリー(生態模倣)」の概念を背景として「大濠の大樹」の実現をコンセプトに、建築と設備を一体的、有機的に繋ぐ機能を校舎に取り入れ、かつ、その「みえる化」を積極的に行い、教育効果増進と省エネルギーに取り組んでいる。
本業績の主たる評価点は以下のとおりである。

  1. 生物の機能から持続可能な環境調和技術を学ぶ「大濠の大樹」には、大樹の蒸散(冷却)作用と同様な屋上散水・屋上緑化・屋外機散水、光合成機能に類似の太陽光パネル、日射遮蔽効果を模した庇とlow-eガラス、樹間のそよ風を連想させる窓配置と自然通風、大地の恵みを吸収する根を模した基礎杭による地中熱利用の各技術が導入されている。デザイン性と省エネルギー性を両立させている。
  2. GSHP(地中熱ヒートポンプ)システムは、基礎杭を利用して地中熱交換器を据え付けることでイニシャルコストの低減を図っている。基礎杭利用型GSHPシステムは、九州地区で初導入ながら、夏季や冬季の運転時熱源効率(COP)は4.6を上回る高い値となっている。これら運用実績の蓄積は今後の技術普及への貢献が期待される。
  3. 校舎内中央の4層吹き抜け、ガラス屋根のアトリウム空間である生徒ホールには、建築によるパッシブ換気と上述の地中熱を熱源の一部とした居住域限定の輻射冷暖房による局所型空調を採用した。ファンコイルユニット補助として据え付けているものの、全体で省エネルギーなシステムを構築している。
  4. 生徒ホールにおける熱回収ダクト露出設置による機能の「視える化」、稼働中の太陽光パネルや地中熱採熱量、アトリウム上部温熱回収量など運転の「見える化」、空調や建物でのエネルギー消費量などデータの「覧える化」が推進されている。なお、これらは空調省エネコンテストなど学習にも活用されている。また、コミッショニングにより建物全体の空調・照明消費電力量や水利用量等のデータを運用改善にフィードバックするという施設情報の「診える化」にも取り組んでいる。

 本業績は学校施設として、建物および各環境負荷削減技術を省エネルギーの啓蒙普及への利用に実践している。特に、「バイオミミクリー」を基本コンセプトに大樹の機能を建物の仕組みとして再現したほか、九州初の基礎杭利用型GSHPの導入、自然換気と輻射冷暖房を併用する居住域の高い快適環境の実現、各種の「みえる化」の学習への活用、コミッショニングによる運用改善など、積極的な多くの環境技術の取り入れと活用が行われている。これらにより、本業績は「本質的な環境対応型エコスクール」として環境教育や省エネルギー化に関して大きく貢献しているものと評価できる。

 よって、本業績は空気調和・衛生工学会振興賞技術振興賞に値するものと認める。

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